恋から逃げるのには理由(わけ)があって
客席の照明が再び明るくなり、舞台に光が集まった。

司会者の声とともに、キャストたちが登壇した。
拍手と歓声が劇場を満たす。

最後に太陽が現れた瞬間、その音が一段大きくなった。

まぶしい。

スクリーンの前に立つ太陽は、私の部屋で卵雑炊を作る太陽とも、熱を出してみかんゼリーを食べる太陽とも違う。
何百人もの視線を受け止めて、堂々と笑う俳優、大空太陽だった。

質疑応答で、太陽は作品の話をした。
海外スタッフとの撮影、乗馬シーンの苦労、剣の練習で手に豆ができたこと。
言葉は穏やかなのに、ひとつひとつが誠実で、会場の空気を自然に引き寄せていく。

腹立たしいほど格好いい。
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