恋から逃げるのには理由(わけ)があって
――新居は、駅前のあの高級マンションだった。

初めて来た時は、世界的俳優が数時間で借りた非常識な物件として認識していたが、今では私の家でもある。

「向日葵、そこにいる?」

「いる。キッチンが広くて遭難しかけてる」

「助けに行く」

「大丈夫。玉ねぎを持ってきて」

「了解」

太陽はエプロン姿で玉ねぎを持ってきた。

黒いTシャツに、私が選んだベージュのエプロン。
何度見ても破壊力がすごい。
世界中のファンには申し訳ないが、この姿は当面非公開でお願いしたい。治安が乱れる。

「何?」

「エプロン王子の公開範囲について考えていました」

「向日葵限定で」
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