恋から逃げるのには理由(わけ)があって
昼すぎ、私は最低限の食料を買いに駅前のスーパーへ向かった。

そして、カップスープ売り場で固まった。

黒いキャップ。
黒いマスク。
長身。
顔の上半分だけで周囲の空気を浄化している男。

大空太陽が、買い物かご片手に白菜を見比べていた。

違和感がすごい。

世界的俳優が白菜の重さを確認している。
海外ブランドの広告に出る手が、豆腐三個パックを持っている。
庶民のスーパーが、急に映画の美術セットみたいになった。

私は回れ右をした。

「向日葵」

声で捕獲された。
< 18 / 179 >

この作品をシェア

pagetop