恋から逃げるのには理由(わけ)があって

第8話 深夜0時のメッセージ

私はスマホを伏せた。

けれど、画面を閉じても、さっきの声は消えなかった。

『本物の王子様にはなれないので。だったら、王子様だと信じてもらえる役者になろうと思いました』

あの病室で、私が言ったこと。

『白馬に乗ってて、お城に住んでて、キラキラしてる人。私のことをものすご~く好きでいてくれて、大人になったら迎えに来てくれるの。あと、たぶん顔がいい』

小学生女子の妄想盛り合わせセットである。

普通なら、そこで笑って終わる。数日後には給食の揚げパンに意識を奪われ、卒業アルバムの寄せ書きで上書きされ、やがて忘れていく。人生とはそういうものだ。

けれど太陽は、忘れなかった。
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