恋から逃げるのには理由(わけ)があって
キッチンは広く、鍋も調味料もきちんと揃っていた。
私は米を研ぎ、鮭を焼き、身をほぐした。鍋に水と少しのだしを入れ、米をゆっくり煮る。白い湯気が立ち上がり、部屋の静けさに混ざっていく。
太陽はソファでブランケットをかぶり、時々こちらを見ていた。
「寝てください」
「見てると落ち着く」
「寝てください」
「うん」
返事だけして、やっぱり見ている。
病気の時まで顔がいいのは反則である。赤い目元も、乱れた髪も、普通なら生活力の低下を示すはずなのに、この人の場合は雑誌の特集になりそうだ。
おかゆがとろりとしてきたころ、鮭を入れた。
塩はほんの少し。仕上げに小ねぎ。
その匂いで、記憶がほどけた。
私は米を研ぎ、鮭を焼き、身をほぐした。鍋に水と少しのだしを入れ、米をゆっくり煮る。白い湯気が立ち上がり、部屋の静けさに混ざっていく。
太陽はソファでブランケットをかぶり、時々こちらを見ていた。
「寝てください」
「見てると落ち着く」
「寝てください」
「うん」
返事だけして、やっぱり見ている。
病気の時まで顔がいいのは反則である。赤い目元も、乱れた髪も、普通なら生活力の低下を示すはずなのに、この人の場合は雑誌の特集になりそうだ。
おかゆがとろりとしてきたころ、鮭を入れた。
塩はほんの少し。仕上げに小ねぎ。
その匂いで、記憶がほどけた。