恋から逃げるのには理由(わけ)があって
太陽は結局、器をほとんど空にした。
みかんゼリーも半分食べた。食べ終わるころには、表情の緊張が少しゆるんでいた。
「薬、飲みますよ」
「はい」
「返事が素直すぎて怖いですね」
「向日葵が怖いから」
「病人にまで恐れられる女、嫌すぎる」
水と薬を渡すと、太陽は素直に飲んだ。
冷却シートを額に貼る時だけ、私は少し迷った。
「自分で貼れます?」
「貼れる」
そう言いながら、彼はシートを上下逆に持っていた。
「貸してください」
私はため息をつき、シートを受け取った。
近づくと、熱の匂いがした。体温の高い肌。少し荒い呼吸。額に触れた指先が、じんと熱を拾う。
一度目の人生で何度も触れた温度。
生きている温度。
胸が、ひどく静かに震えた。
「はい。完了です」
私はすぐに距離を取った。
太陽は額のシートに触れ、少し笑った。
「向日葵、看病うまい」
「褒めてもおかゆは増えません」
「じゃあ、明日も風邪ひく」
「今すぐその発言を取り消してください」
「取り消す」
弱った声で笑われると、怒りきれない。
ずるい。病人特権を悪用している。
みかんゼリーも半分食べた。食べ終わるころには、表情の緊張が少しゆるんでいた。
「薬、飲みますよ」
「はい」
「返事が素直すぎて怖いですね」
「向日葵が怖いから」
「病人にまで恐れられる女、嫌すぎる」
水と薬を渡すと、太陽は素直に飲んだ。
冷却シートを額に貼る時だけ、私は少し迷った。
「自分で貼れます?」
「貼れる」
そう言いながら、彼はシートを上下逆に持っていた。
「貸してください」
私はため息をつき、シートを受け取った。
近づくと、熱の匂いがした。体温の高い肌。少し荒い呼吸。額に触れた指先が、じんと熱を拾う。
一度目の人生で何度も触れた温度。
生きている温度。
胸が、ひどく静かに震えた。
「はい。完了です」
私はすぐに距離を取った。
太陽は額のシートに触れ、少し笑った。
「向日葵、看病うまい」
「褒めてもおかゆは増えません」
「じゃあ、明日も風邪ひく」
「今すぐその発言を取り消してください」
「取り消す」
弱った声で笑われると、怒りきれない。
ずるい。病人特権を悪用している。