恋から逃げるのには理由(わけ)があって
その夜、太陽は私の頭にそっと手を置いた。

「無理しないで」

私は笑おうとした。

「太陽くんこそ。明日も撮影でしょ」

「向日葵のほうが、今は心配」

「私は普通の会社員だよ。世界的俳優に心配されるほど壮大な人生は送ってないから」

「壮大じゃなくても、俺には大事だから」

さらりと言われた一言に、胸が痛くなる。

大事にされるほど、私は本当のことを言えなくなった。
< 99 / 179 >

この作品をシェア

pagetop