遼くんは泣き顔がお好き。
#########
「…なんかごめんね、せっかく誘ってくれたのに…
楽しい話全然できなかったね…」
「本当だよ、久原さんうわの空だし」
それを言われると何も言い返せない。
うう、とうめきながら胸を押さえたあたしを見て宮尾くんは笑った。
「申し訳ないと思ってんならまたみんなでおでかけでもしよーよ。今度こそ楽しい話もしよ?」
「…分かった」
あたしが頷くのを見て満足げに笑った宮尾くんは、帰り道を歩き出す。
もう陽が落ちて薄暗くなってきているせいか、カフェから出て少し歩くとすれ違う人はまばらになってきていた。
「久原さん歩きだっけ?送るよ、暗くなってきたし」
「や、いいよいいよ!宮尾くんち……
…あれ、宮尾くんの家ってどこだったっけ?」
「前にも話したじゃん、学校の最寄りから二駅行ったとこの…」
言われてからなんとなくそんな話をしたことがあるような気がして、ああ、なんて曖昧に返事をする。
「相変わらず人の話聞いてないなぁ、久原さんは」
「それはっ、…ごめん」
結局なんの言い訳もできずに俯く。
あたしだったらどう思うだろう。
好きだって思う人に話した時にちゃんと聞いてもらえなかったら。
こんなふうに優しく笑えるんだろうか。