遼くんは泣き顔がお好き。




” 遼くんってあたしのどこが好きなの?”


そう聞かれて即答できないくらいには、
好きなところなんて沢山ある。


泣いた顔が好きだと言ったのも嘘じゃない。
初めてれいちゃんと会った時、あの顔に一目惚れしたんだから。

だけどそれだけじゃない。



強くないしすぐに怯えるくせに、自分が正しいと思ったことには嘘をつかないところ。


あの公園で、小学生だったれいちゃんが言った言葉は俺の中に消えずにずっと残ってる。


”後悔はしてない”


すぐに泣くくせに
ひとりになるのが嫌なくせに。


弱いくせに強い彼女のことが、たまらなく可愛くて、愛おしくてたまらない。


ガタン、と音を立てて車内が揺れたせいでれいちゃんが目を覚ました。


「あれ…ここどこ?」

「まだもうちょっと先だから寝てても大丈夫だよ」


そっか、わかった。
寝ぼけた声で返事をして、ふにゃっと笑う。
どう見ても半分寝ているその顔が可愛くて、自分の口元が緩んでいくのが分かった。


このまま駅に着かなくてもいいのに。


電車に乗っていてそんなことを思ったのは初めてのことだった。






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