探偵の日記 村田連続殺人事件

手がかりは事情聴取

「ちょっと皆さん聞いてください。」
 美空が部屋に座っているみんなの視線を集める。美空がこっちを向いて、頷いた。次は私...か。
「まず、この事件の犯人はこの中にいる。」
「えっ、なんだこの中に?犯人は別にいて、この家のどこかに隠れてるんじゃ。」
 佐藤が不安そうな顔で私に聞く。
「それはない。さっき家の周りを見たけど、雪の上には足跡なんて全くない。私たち全員がここに着いてから降ってきたでしょ?つまり何者かが足跡を付けずに、家の中に入ってくるなんて不可能。まずまず鍵もチェーンも閉まってたからそれはない。」
「じゃあ、俺たちが入ってくる前に入ってたとかは?」
「確かにそれはありえるかもしれないけど、近くにバス停も駅もない場所に、車も自転車もなしで来るのは相当きついと思うけど?それに村田は私に、もう殺されるかもしれないことを伝えていた。しかもこのパーティで殺される予感がしてたから、私をココに呼んだ。パーティの招待客、あるいは使用人に殺される可能性があるから。」
「そんな...。」
「そう言うことだから。で、私が今から一人ずつ事情聴取をする。いい?」
 皆が順に頷いた。
「よし、じゃあ美空は監視というか、まあ監視だね。監視のためにここに残ってて。」
「分かりました。」
「ねえ、隣に確か応接間あったよね?」
 スタッフ二人の方に向かって話しかける。
「はい。使って下さっても大丈夫です。」
 小林が答えた。
「分かった、ありがと。じゃあどうしよ、佐藤さん?だっけ先あんたから始めよっ。」
 はい、と佐藤は言い、私たちは部屋の外に出て別室に移動した。

 佐藤はドンっとソファに勢いよく座った。よく見ると涙目だった。
「で、今から何するんだ?」
 悲しそうな、イライラしてるような、雰囲気で彼はそう言った。
「あんたからちょっとだけ話を聞くだけ。落ち着いて話してくれたら大丈夫だから。」
「はいよ。言っておくが俺は犯人じゃないぞ?」
 出た!自分は犯人じゃないって言うドラマみたいな事情聴取の名言。…そんなこと言ってる場合じゃない。
「別にあなたのこと疑ってるわけでもないし、ただ全員に話を聞くだけ。」
「俺がどれだけ麻夏を愛してたと思ってるんだよ。」
 そう言って佐藤は泣き始めた。何年、いや何十年も前に別れた元カノをそれほど愛してたってこのなのかな。
< 5 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop