好きになった人は、みんなのアイドルで

41話 光ってた

ーー悠太郎サイド

レッスン終わり、
いつものようにつむぎちゃんがいるのを確認してカフェに入る。

「つむぎちゃん、おつかれ」
「おつかれさま、悠太郎くん」
「アイスカフェラテお願いします」
「かしこまりました!」

カフェラテを作る後ろ姿を見ながら
(お団子の可愛い子……やっぱりつむぎちゃんだ)と思う。

「お待たせしました、アイスカフェラテです!」
「ありがと 」

席に着く。
次の客と、なんか喋ってる。
否定するように手を振って……なんか照れてる。
なに、なに喋ってんの?

レッスンの振り返りなんて手につかなくて、
バレないようにずっとつむぎちゃんを眺めてた。

つむぎちゃんが「お疲れ様でした」とバックに下がる。
え、今帰れば一緒に帰れるんじゃない?

慌てて帰り支度を始める。
着替えて出てきたつむぎちゃんに、偶然を装って声をかけた。

「バイト終わり?俺も帰るとこ。一緒に行こ」
「え、うん。行こ」

暑いね、とか、夏休みどっか行くの?とか、
そんな話をして駅に着く。
(……もっとなんか気の利いたこと言えないのかよ俺)

「駅までちょっとなのに暑すぎてもう汗だく」
汗ばんで笑ったつむぎちゃんに、思わず声をかけた。
「あれ、食べてく?」

駅に数店舗入ってる中の、ジェラート屋。
なんか言わなきゃいけない気がして慌てて付け足す。
「俺、奢るよ」

「……奢らなくていいけど、食べたいかも」
つむぎちゃんが笑ってくれて、力が抜ける。
……俺、今、めっちゃ緊張してた。

「何味にしよ〜今月バイト頑張ってるしダブルでもいいかな」
つむぎちゃんはメニューに駆け寄って悩んでいる。
「ね、悠太郎くんは何味にする?」
振り返ったつむぎちゃんが、光って見えた。

え、待って、つむぎちゃんって、こんな感じだったっけ。

「あー、どうしようかな」
近い。つむぎちゃんと、こんな近くで喋ったの、初めてだ。

「決めた、ミルクティーと桃にする!」
「じゃあ俺は、チョコレートと……ミルクにしよ」
「チョコレート好きなの?」
「うん、結構好き」
「やっぱそうなんだ」
「やっぱってなに?」
(……え、やっぱってなに?)
「あ、ごめん、前に友達と来た時ガトーショコラ頼んでたでしょ、チョコレート好きなのかなって」

(……待って、覚えてたの?)
(なんで、いや、店員さんってそういうもんなのかも)

「そう、ガトーショコラも好き」

レジでジェラートを頼んで近くのベンチに座る。
ジェラートの味なんて、ちっとも分からなかった。
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