好きになった人は、みんなのアイドルで

42話 デートみたい

カランカラン。ドアが開く。
「いらっしゃいませー!」
悠太郎くんだ。

「つむぎちゃん、おつかれ」
「おつかれさま、悠太郎くん」
「アイスカフェラテお願いします」
「かしこまりました!」

「お待たせしました、アイスカフェラテです!」
「ありがと 」

変わらない、いつものやり取り。
だけど、ちょっと嬉しい。

今日は悠太郎くん、結構長くいるな。

「お疲れ様でした!」
更衣室で着替えながら、
(まだ悠太郎くんいたな……声掛けて帰ろうかな……)と悩む。

でも、なんて声掛けよう。
おつかれさま……それだけ?
今日は長く居たね……無理無理、気持ち悪い。

決めきれないままホールに出ると
「バイト終わり?俺も帰るとこ。一緒に行こ」
(え……)一瞬、時が止まる。
「え、うん。行こ」
(普通に答えられた?)

駅まではあっという間。

「駅までちょっとなのに暑すぎてもう汗だく」
汗ばんでるのが恥ずかしくて少し笑うと、悠太郎くんが言う。

「あれ、食べてく?」 「俺、奢るよ」

……え、悠太郎くんと?ジェラート?
待って待ってなんかそれ、デートみたいじゃない!?

小さく深呼吸して答える。
「……奢らなくていいけど、食べたいかも」
「うん」と小さく悠太郎くんが頷く。

顔を見るのが恥ずかしくて、メニューに駆け寄る。
「ね、悠太郎くんは何味にする?」
振り返ると、今日も発光している私の推しがいた。

メニューに近づいてきて選ぶ悠太郎くん。
(待って、隣にいるの、近い。)

何も考えられなくて、目に入った2つを選ぶ。
「決めた、ミルクティーと桃にする!」
「じゃあ俺は、チョコレートと……ミルクにしよ」

(チョコレート……前もガトーショコラ頼んでたし、好きなのかな)

「チョコレート好きなの?」
「うん、結構好き」
「やっぱそうなんだ」
「やっぱってなに?」

(……やばい。キモかったかも。……引かれた?)

「あ、ごめん、前に友達と来た時ガトーショコラ頼んでたでしょ、チョコレート好きなのかなって」
正直に話すと
「そう、ガトーショコラも好き」
笑う悠太郎くんにほっとした。

近くのベンチでジェラートを食べる。
ジェラートの味なんて、分からないよ。
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