クールな機長は契約恋人の副操縦士を離さない
「誰よりも会社を愛していた兄さんはスターリングの本性を知って手を引いたんだ。俺は亡くなる前に兄さんから聞いたんだ。スターリングと接触したのは間違っていたと。白鳥副社長だって、兄さんから聞いていただろう?」
俺の言葉に白鳥がわざとらしく小首を傾げる。
「それは隼人くんの聞き違いじゃないかな。樹くんはミスター・スターリングは信用できると言っていた。買収には前向きだったよ」
「嘘だ!」
白鳥の頬がピクリと引きつった。
「隼人くん、言葉が過ぎるよ。私を疑うのは勝手だが、私は高月社長のため、そして何より亡くなった樹くんのために、この身を粉にして働いているんだ」
そう言って白鳥は悲しげに目を伏せた。
芝居かかった仕草が、吐き気がするほど腹立たしい。さらに白鳥に詰め寄ろうとした時、父の冷徹な声が響いた。
「隼人、これ以上騒ぎ立てるなら、お前の機長の座も考え直さなければならん。それに、お前の恋人のことだが、お前の身勝手な振る舞いが結果として彼女を追い詰めていることに気づいたらどうだ?」
父の言葉が深く胸に突き刺さる。
空き巣の件が父や白鳥の仕業ではなかったとしても、俺の恋人という立場になったことで被害に遭った可能性はある。綾音との結婚を避ける為とは言え、会社中に見せびらかすように俺たちの仲を公表したことは、悪意のある誰かの反感を買ったかもしれない。
「……彼女は俺が守る。誰にも指一本触れさせない」
絞り出すようにそう告げ、社長室を後にした。
重厚なドアを閉めた瞬間、怒りと焦燥感で視界が揺れた。
兄を亡くし、白鳥に完全にコントロールされている父が情けない。以前の父は誰の話も公平に聞く、判断力のある優れた経営者だった。それが今や、亡き兄の名前を免罪符のように使う白鳥の操り人形だ。
だが、絶対に白鳥の陰謀を俺が暴いてみせる。兄の無念は俺が晴らしてみせる。
会社を出ると、今度は愛車を川崎に向け、探偵の佐久間の所に行った。
依頼していた白鳥の身辺調査の進捗状況の確認と、空き巣の犯人の調査を頼む為だった。
瑞希が帰国したのは、その翌日だった。俺は彼女をマンションに連れて行き、その日から同居を始めた。
父と白鳥から彼女を守る為だったが、瑞希と暮らすことは俺自身を追い詰めることにもなった。
俺の言葉に白鳥がわざとらしく小首を傾げる。
「それは隼人くんの聞き違いじゃないかな。樹くんはミスター・スターリングは信用できると言っていた。買収には前向きだったよ」
「嘘だ!」
白鳥の頬がピクリと引きつった。
「隼人くん、言葉が過ぎるよ。私を疑うのは勝手だが、私は高月社長のため、そして何より亡くなった樹くんのために、この身を粉にして働いているんだ」
そう言って白鳥は悲しげに目を伏せた。
芝居かかった仕草が、吐き気がするほど腹立たしい。さらに白鳥に詰め寄ろうとした時、父の冷徹な声が響いた。
「隼人、これ以上騒ぎ立てるなら、お前の機長の座も考え直さなければならん。それに、お前の恋人のことだが、お前の身勝手な振る舞いが結果として彼女を追い詰めていることに気づいたらどうだ?」
父の言葉が深く胸に突き刺さる。
空き巣の件が父や白鳥の仕業ではなかったとしても、俺の恋人という立場になったことで被害に遭った可能性はある。綾音との結婚を避ける為とは言え、会社中に見せびらかすように俺たちの仲を公表したことは、悪意のある誰かの反感を買ったかもしれない。
「……彼女は俺が守る。誰にも指一本触れさせない」
絞り出すようにそう告げ、社長室を後にした。
重厚なドアを閉めた瞬間、怒りと焦燥感で視界が揺れた。
兄を亡くし、白鳥に完全にコントロールされている父が情けない。以前の父は誰の話も公平に聞く、判断力のある優れた経営者だった。それが今や、亡き兄の名前を免罪符のように使う白鳥の操り人形だ。
だが、絶対に白鳥の陰謀を俺が暴いてみせる。兄の無念は俺が晴らしてみせる。
会社を出ると、今度は愛車を川崎に向け、探偵の佐久間の所に行った。
依頼していた白鳥の身辺調査の進捗状況の確認と、空き巣の犯人の調査を頼む為だった。
瑞希が帰国したのは、その翌日だった。俺は彼女をマンションに連れて行き、その日から同居を始めた。
父と白鳥から彼女を守る為だったが、瑞希と暮らすことは俺自身を追い詰めることにもなった。