クールな機長は契約恋人の副操縦士を離さない
「あの、もう一度言って下さい」
「俺の恋人のふりをして欲しいんだ」

 こういうストーリーのドラマとか漫画ってよくあるよねと思いながら、まじまじと高月キャプテンの端正な顔を見る。

「なんで私が? それに『契約』って」
「さっきのスターリングの話を聞いていただろう? 白鳥副社長が綾音と俺を結婚させようと躍起になっているんだ。父も白鳥家との繋がりを強くしたいようで、綾音を勧めてくる。だが、俺は自分の人生を他人に決められたくない。パイロットとしてのキャリアも、誰と結婚するかも自分で決めたい。白鳥親子は、俺の沈黙を自分たちに都合よく解釈している。だから、はっきりとした『意志』を示す必要がある」
「その意思表示が契約恋人ってことですか?」
「そうだ。それに南雲にとっても悪い話ではないぞ」

 ニヤッと口の端を上げたキャプテンを見て嫌な予感がした。

「南雲はクイック・イーツの配達員をしているよな?」
 テーブルの上で手を組んだキャプテンが、鋭い視線を向けてくる。
 思わず体を引くが背もたれにゴンッと当たるだけだった。
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