クールな機長は契約恋人の副操縦士を離さない
思考が真っ白になりかけたその時、契約書の存在を思い出して、慌てて声を上げた。
「あ、あの! 次の質問ですが!」
隼人さんがハッとしたように眉を上げ、ゆっくりと私から離れる。
「……なんだ?」
一人分の空間を空けた隼人さんが、少し気まずそうに私を見た。
「六条の【適切なスキンシップ】って何ですか?」
「恋人らしく見えるスキンシップのことだ」
昨日、隼人さんと空港で、手をつないで歩いたことを思い出す。
「それって手をつなぐくらいですよね? それ以上の濃厚なスキンシップはありませんよね?」
「濃厚なスキンシップというと?」
真顔で聞かれて、頬が熱くなる。
「だから、その……キスをしたりとか……」
つい声が小さくなる。
「キスくらいはあるかもしれないな。執拗な白鳥綾音を納得させる為にも」
「えっ!」
大きく目を見開くと、隼人さんが真顔になる。
「嫌か?」
言葉に詰まる。さっき隼人さんとキスしそうになったことを思い出し、心が大きく揺れてしまう。いや、ダメよ。これはあくまでも仕事なんだから。
「……仕事ですから、必要なら仕方ないと思いますが、なるべく避けて頂けると」
「善処しよう」
「そうして下さい。後、七条の【週一でデートすること】はどうして必要なんですか?」
「恋人らしい空気を出す為と、周囲に見せつける為だ」
「なるほど。じゃあ、デートは空港内とか、その近くがいいですよね」
「そうだな。デートをした時は必ず写真を撮ろう」
「証拠を残すんですね。白鳥さんに見せるために」
隼人さんが頷いた。
「今日も撮ろう。お家デートの写真だ」
お家デートと言われて、隼人さんがランチを作ってくれた訳がわかった。きっと白鳥さんに聞かれた時に隼人さんの手料理を食べたことを伝えれば、恋人だと思ってくれるだろう。
「なるほど。手料理を振る舞ってくれたのは、白鳥さんにデートの中身を聞かれた時の為だったんですね」
「それもあるが、瑞希の為だと言ったのは本当だ。今日の料理はお前が美味そうに食べる所を想像して用意したんだ。想像以上にいい顔をしていたな」
優しい笑みを浮かべた隼人さんが素敵で胸が大きく弾んだけど、それを誤魔化すように私はわざと怒ったような言い方をした。
「どうせ食いしん坊だって言いたいんでしょ」
隼人さんが楽しそうにクスクスと笑う。
「そうだな。瑞希は食べるのが好きだよな。ロスでハンバーガー食べた時はいい顔していたな。コックピットではそんな顔で食事していなかったのに」
「それは、仕事中だから食事を楽しむ余裕がなかったんです」
本当はクイック・イーツの仕事のことを、隼人さんに聞かれるかもしれないと思って冷や冷やしていたのだ。
「瑞希は真面目なんだな。ところで、もうクイック・イーツの仕事はするなよ」
隼人さんが釘を刺すように見てくる。
「もうしていませんよ」
さすがに隼人さんに見つかって懲りた。
「それならいい」
ほっとしたような表情を浮かべた隼人さんを見て、心配されていた気がした。
「もしかして、心配していました?」
「うちの会社の副操縦士が副業だなんて、会社の信用が落ちるからな」
会社のことを言われて、申し訳なくなる。
「……すみませんでした」
「反省しているか?」
「……はい」
「それならよろしい」
そう言って隼人さんが小さな子どもの頭を撫でるように私の頭を撫でた。その撫で方がとても優しくて、不覚にもドキドキしてしまう。
「あ、あの! 次の質問ですが!」
隼人さんがハッとしたように眉を上げ、ゆっくりと私から離れる。
「……なんだ?」
一人分の空間を空けた隼人さんが、少し気まずそうに私を見た。
「六条の【適切なスキンシップ】って何ですか?」
「恋人らしく見えるスキンシップのことだ」
昨日、隼人さんと空港で、手をつないで歩いたことを思い出す。
「それって手をつなぐくらいですよね? それ以上の濃厚なスキンシップはありませんよね?」
「濃厚なスキンシップというと?」
真顔で聞かれて、頬が熱くなる。
「だから、その……キスをしたりとか……」
つい声が小さくなる。
「キスくらいはあるかもしれないな。執拗な白鳥綾音を納得させる為にも」
「えっ!」
大きく目を見開くと、隼人さんが真顔になる。
「嫌か?」
言葉に詰まる。さっき隼人さんとキスしそうになったことを思い出し、心が大きく揺れてしまう。いや、ダメよ。これはあくまでも仕事なんだから。
「……仕事ですから、必要なら仕方ないと思いますが、なるべく避けて頂けると」
「善処しよう」
「そうして下さい。後、七条の【週一でデートすること】はどうして必要なんですか?」
「恋人らしい空気を出す為と、周囲に見せつける為だ」
「なるほど。じゃあ、デートは空港内とか、その近くがいいですよね」
「そうだな。デートをした時は必ず写真を撮ろう」
「証拠を残すんですね。白鳥さんに見せるために」
隼人さんが頷いた。
「今日も撮ろう。お家デートの写真だ」
お家デートと言われて、隼人さんがランチを作ってくれた訳がわかった。きっと白鳥さんに聞かれた時に隼人さんの手料理を食べたことを伝えれば、恋人だと思ってくれるだろう。
「なるほど。手料理を振る舞ってくれたのは、白鳥さんにデートの中身を聞かれた時の為だったんですね」
「それもあるが、瑞希の為だと言ったのは本当だ。今日の料理はお前が美味そうに食べる所を想像して用意したんだ。想像以上にいい顔をしていたな」
優しい笑みを浮かべた隼人さんが素敵で胸が大きく弾んだけど、それを誤魔化すように私はわざと怒ったような言い方をした。
「どうせ食いしん坊だって言いたいんでしょ」
隼人さんが楽しそうにクスクスと笑う。
「そうだな。瑞希は食べるのが好きだよな。ロスでハンバーガー食べた時はいい顔していたな。コックピットではそんな顔で食事していなかったのに」
「それは、仕事中だから食事を楽しむ余裕がなかったんです」
本当はクイック・イーツの仕事のことを、隼人さんに聞かれるかもしれないと思って冷や冷やしていたのだ。
「瑞希は真面目なんだな。ところで、もうクイック・イーツの仕事はするなよ」
隼人さんが釘を刺すように見てくる。
「もうしていませんよ」
さすがに隼人さんに見つかって懲りた。
「それならいい」
ほっとしたような表情を浮かべた隼人さんを見て、心配されていた気がした。
「もしかして、心配していました?」
「うちの会社の副操縦士が副業だなんて、会社の信用が落ちるからな」
会社のことを言われて、申し訳なくなる。
「……すみませんでした」
「反省しているか?」
「……はい」
「それならよろしい」
そう言って隼人さんが小さな子どもの頭を撫でるように私の頭を撫でた。その撫で方がとても優しくて、不覚にもドキドキしてしまう。