疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
そう言いながら、リズはドラゴンから視線をそらす事はなかった。

この人は・・レッドドラゴンなのだ。

この種族は、強い魔力を持つと言われる。

ドラゴンも、何か考え込んでいるように見えた。

「飲め」

そう言ってから、グラスをリズの前に押し出した。

その手の爪は赤く、手の甲は所々赤く変色しているあざのように見える部分がある。

「ありがとうございます。いただきます」

リズはグラスに視線を移し、手に取った。

鼻腔に抜ける香り・・・高級なブランデーだ。

良いワインを、蒸留しているのだろう。

リズはのどの渇きもあって、一気に飲み干した。

ドラゴンは、リズの飲みっぷりに、唖然として目を見開いた。

リズは空のグラスを机にトンと置くと、ハンカチで口を押えた。

「いいお酒ですね」

「ああ、酒はこだわりが・・」

そう言いかけると、ドラゴンは顔をしかめた。

「お前は本当に・・王女なのか?」

強い酒を一気飲みする王女なんて、聞いたことがない。

「ここで嘘を言って、どうにかなりますか?」

酒の勢いもあるだろうが、リズはドラゴンを見て、改めて疑問形で返した。

「っ・・・」
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