疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
ドラゴンは小さく舌打ちをした。

この女をどう扱うか・・・考えていた。

受け答えがすべて想定外なのだ。

泣きわめくでもない、恐れるでもない、感情がない。表情が見えない。

「お前はこれからここの使用人だ。まず・・ブーツを脱がせろ」

そう言うと、ドラゴンは座っている右足を、カツンと前に出した。

「わかりました。ご主人様」

リズは椅子から立ち上がり、ためらうことなくドラゴンの前にかがんだ。

ブーツは泥だらけで脱がすのに苦労したが、脱がした後の臭いが、ひどかった。

「うっ・・」

リズは息を止めた。

足指の一部が化膿して赤黒く、膿を持っている。

これは・・・痛みを感じていないのか?

「ナディールの王女が・・ひざまずいて屈辱だろう・・・」

その様子を見て、ドラゴンはうれしそうに笑った。

リズは、しばらくうつむいていたが、顔をあげて言った。

「この傷を洗わないと・・もっとひどくなります」

ドラゴンは想定外の返答に、拍子抜けしたように自分の足元を見た。

「ああ・・?」

「足の傷が化膿しているので・・すぐに洗わないとだめですね。あときれいな布も必要です」

リズは立ち上がり、何かを捜すように周囲を見回した。

その時、食堂の別の扉がわずかに開き、小柄な白い髭の老人が顔をのぞかせた。

ドワーフ族の特徴の白いひげと眉毛がふさふさで、目まで垂れ下がっている。

「旦那様、お食事はどうなさいますか・・」

「ドラゴンは、命令口調で言った。

「グレーズ、この女を台所につれていけ」

グレーズと呼ばれた老人は、いぶかしげにリズを見つめていたが

「わかりました。どうぞ、こちらに」

そう言って、自分の入ってきた扉を指さしたので、リズも後について行った。
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