疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
「ブーツは蒸れるのでだめですね。傷を乾燥させるようにしないと。

あと、毎晩薬湯で洗って、化膿止めの薬をぬるようにします。」

リズは少し考えこんで

「この薬が・・・ドラゴンにも効くとよいのだけれども」

その言葉に反応するように、ドラゴンが小さく声をあげた。

「うっ・・・ヒリヒリするぞ」

リズはその感想を無視して、包帯を巻き始めた。

「旦那様、これをお使いください」

グレーズがスリッパをそろえて、床に置いた。

「疲れた・・俺はもう寝る。

あと、この女に食事をだしてやれ。それから、二階の客間を使え」

ドラゴンは横を向いて、面倒くさげに言った。

リズが立ち上がると、手早く汚れた布をまとめてたらいに入れた。

ドラゴンも立ち上がり、足を引きずって、闇にある別の扉に消えて行った。

「あの・・お客様・・お食事を準備いたしますだが・・」

グレーズはドラゴンの姿がいなくなるのを確認して、声をかけた。

「リズと呼んでください。私もこれからここの館の使用人ですから」

治療が終わったので、ほっとした表情で答えた。

「わかりました。では・・台所にいきましょう」

台所はかまどの火がよく燃えて、よいお茶の香りが広がっている。

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