疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
ドラゴンの傷を見るのは、はじめてだから・・・ニンゲンと同じ治療でもよいのか、経過観察は必要だ。

階段を降り、見覚えのある居間を抜けて、台所の扉を開けた。

「おはようございます」

「おう、これはリズ様、お早い事で・・」

グレーズが振り向いて、ぺこりと挨拶をした。

隣に、可愛らしい小さい老婆が立っている。

「私の連れ合いでして、アンナといいます。

ここの台所をやってもらっています」

アンナは前掛けで手を拭きながら、ニコッと笑い会釈をした。

リズもつられるように微笑んだ。

ここのドワーフ夫婦は、いい人たちのようだ。

「リズと呼んでください。私もここの使用人ですから、エプロンを貸していただけますか?」

アンナは丸い目を見開いて、口をとがらせた。

「あなた様は、ナディールの王女様と聞きましたが・・」

リズは困ったように、肩をすくめて手を横に振った。

「ええ、でも今は使用人ですから、何をすればいいかしら?」

「それでは、あの・・井戸の水汲みを・・水桶に貯めるのです」

アンナが、申し訳なさそうに言った。

リズはうなずいた。

「ええ、やりますよ。井戸はそちらですね」
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