疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
「馬に水をやるので、少し休憩しますが」

まだ、幼さの残る助手が、リズを見上げた。

リズは、男並みに背が高い。

目立つことのないように、飾りもないグレーのドレスを着て、銀髪は黒いリボンでひとつにまとめている。

銀灰色の長い髪は、白髪にもみえただろう。

肌は青白く、端正な顔立ちとも言えたが、若いのか、そうでないのか、年齢不詳の印象を与える。

若い女の持つ華やかさはなかったが、王族としての気品と威厳があった。

冷気を呼び寄せる冬の女王のようで・・その影は銀の霧のようにも見えた。

リズはハンカチで口を押えながら、うっそうとした森に向かう小道を見ると、御者と助手が馬たちを引いて奥に入って行く。

すでに夕日が落ちはじめ、森の木々は陰影を深く刻みつつあった。

まだ夏の終わりだが、陽が落ちると気温は急速に下がる。


これから向かう修道院は、山の中腹にあるので、冬の寒さがひときわ厳しいところと聞いた。

人里離れた、世捨て人の行く、自分にふさわしい場所

リズは息を小さく吐くと、自虐的に微笑んだ。

別に落ち込む問題ではない。
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