疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
幼い時から、修道院を転々として育ち、王族の身分でありながら、王宮で生活をしたことがない。

与えられた場所で生きること、それはリズにとって生き延びる手段であった。

まだ、人知れず殺されないだけ、ましなのかもしれない。

国王である父に疎まれ、遠ざけられた娘なのだから。


ホウ、ホウ、ホウ・・・

馬を追いやる叫び声が、連続して遠くから聞こえる。

ザザザザ・・・

うわぁーーーーーーーーーーーー

大きな雄たけびと馬のひずめの音が、地鳴りのように響いてくる。

ドドドドドドッ

その時、暗い森の入り口から、何頭もの騎馬集団が飛び出してきた。

リズが驚く間もなく、4~5頭の馬に乗った男たちに囲まれた。

男たちは闇に紛れるように長い黒マントとフード、顔のほとんどをスカーフで覆い隠している。

一頭の馬が興奮して立ち上がり、大きないななきをあげた。

それを合図に、リズの立っている大きな木を取り囲むように、馬たちがグルグル回りはじめた。

もうもうと砂埃が舞い、リズはせき込むと下を向き、ハンカチで口を押えた。

助けを呼ぼうにも、人影がない。

御者たちは、すでに逃げてしまっているのだろう。

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