疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
畑を増やすために、木を伐採して・・・ナディール王が税収を増やすために力を入れている事業なのだろう。

「ドラゴンって、初めて見ました。

それも赤い角、レッドドラゴンはとても珍しいのでは・・」

「珍獣のように言うな!!」

ドラゴンがゆっくりと杖をつきながら、台所の扉から出て来た。

「おはようございます。ご主人様。」

リズはまったく表情を変えず、スカートの脇をつまんでお辞儀をして答えた。

アンナは前掛けを口に当てて、クスクス笑っている。

「お前も王女にしては珍しいタイプだな。井戸の水汲みも経験しているのか?」

「はい、修道院でも、毎日やりましたから」

リズは、桶に水を注ぎながら言った。

「水を汲み終わったら、昨日の傷を見せてください。

明るい場所でもう一度、確認したいので」

リズの視線は、ドラゴンの足元に向けられていた。

「フン」

ドラゴンはそのまま庭の方に出て行こうとするのを、アンナが呼び止めた。

「旦那様、すぐにお食事にしますから、食堂にお戻りになってくださいね」

「わかった」

ドラゴンは振り向かず、片手をあげると戻っていった。

< 21 / 92 >

この作品をシェア

pagetop