疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
「旦那様は、毎朝、森に魔法をかけるのですが・・・」

アンナが指さした森を見ると、ずりずりとその形が、微妙に変わっている。

森がうごめいている。

「今日は、リズ様がどんな様子か、わざわざ見に来たのですね」

「この森は人を入れないし、出さないのでしょう。

私が逃げられないことも、わかっているはずです。」

リズは少しいらだたしげに言うと、両手に水桶を持ち台所に戻った。

台所の大きな配膳台には、ドラゴンのための食事が、すでに準備されていた。

グレーズが、山盛りの肉の皿と、ビールジョッキをワゴンに準備していた。

「リズ様、このワゴンをお願いしますだ。俺は樽を持ちますから」

ドラゴンは、陽ざしの差し込む食堂で、一人、座っていた。

「御主人様、お食事をお持ちいたしましただ」

グレーズが、樽からビールをジョッキに継いだ。

「うむ、こいつの飯は・・・」

リズに赤い目が向けられた。

「台所でアンナが用意しております。」

「そうか」

ドラゴンがジョッキに口をつけた。

リズの目が、ビールの樽に釘付けになって、しかも眉間にしわが寄っている。

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