疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
そこは広く、細工の凝った家具や金箔を押した壁紙など豪華な作りであったが、ほこりっぽく、さびれているような雰囲気があった。

窓際の大きなソファーで、クッションを枕に、ドラゴンが眠っていた。

窓からの明るい光でよく、顔が見えた。

鼻梁がすっきりと通り、閉じられた瞼のまつ毛も深紅で長く、影を落としている。

唇は薄目だが、形よく閉じられていた。

さきほどのビールと、昨日の疲れがまだ残っているのだろうか、黒髪は乱れ、赤い角は美しい曲線を描いている。

顎から首へのラインは、優美であり、開き気味のシャツからのぞく肌は、思ったよりずっと白い。

夜目には浅黒く感じたが・・・髪色が漆黒のせいかもしれない。

ドラゴン族は骨太でいかついと聞いたが、このドラゴンは相当に美形だ。

耳先がわずかにとがり、角がなければ、優雅なエルフのようにも見える。

「ご主人様、包帯を取り替えたいのですが・・」

リズはかがんで眠っているドラゴンに、小さな声で呼びかけた。

ドラゴンが薄目を開けた。

「ああ・・・?」

リズはしゃがみこみ、絨毯の上に濡れるないように布を広げた。

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