疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
グレーズがたらいを置き、やかんで湯を注ぐと、リズがかき回して湯の温度を確認した。

「あと踏み台が必要なので、お願いします」

リズの指示に、グレーズがあわてて台所に走って行った。

ドラゴンがソファーにもたれかかって、座りなおした。

「早朝、知らせがあった。

ナディールの王女が、修道院で急死したと、街中に話が出回っている」

リズの包帯を解く手は、まったく止まらなかった。

「それで、葬儀はいつなのですか?」

天気の話でもするような口調で、リズは解いた包帯をまるめると、脇に置いた。

「葬儀は王宮ではなく、修道院で行ったという話だ」

そう言ってから、ドラゴンは額にしわをよせた。

「ではその修道院に、埋葬された事になっているのですね」

「そのようだ」

リズは傷の、特に膿んでいる場所を、ていねいに薬草の湯でぬらした布で拭いた。

痛むのか、しみるのか、ドラゴンは顔をしかめ、それから、深くため息をついた。

「お前は・・何とも思わないのか?」

リズは顔を上げて、ドラゴンを見た。

その瞳はアメジストの紫、深く冷たい。


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