疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
「ええ、そうです。とても強い魔力を持つレッドドラゴンで、大きな翼もあって飛ぶこともできました。
今の旦那様には、翼がないですが・・」
最後は、やや残念そうな響きを含んでいた。
リズは衣装戸棚の上に、小さなかごを見つけた。
はたきがひっかかるので、手を伸ばして取ると、中には色あせたピンクの毛糸と編み棒、
赤ん坊の小さな靴下と、編みかけのケープが入っていた。
リズはそっとかごを元の場所に戻しながら、聞いた。
「レッドドラゴンとエルフが、結婚したのですね?」
アンナは思い出すように、クスクス笑った。
「まだ若いグラゴール様が空を飛んでいた時に、神殿にいたエルフの娘に一目ぼれなさったのです。
それはもう、毎日、毎日、神殿に通われて・・・
ある日、ついに我慢できずに・・・グラゴール様は魔法石を使って、奥様の意識をなくして、ここに連れてきてしまったのです。」
リズは首をかしげながら聞いた。
「それって誘拐ですよね?」
アンナは、雑巾を拭く手を止め、答えた。
「確かにそうですね。」
リズも質問を肯定されたので、そのまま手を止めてしまった。