疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
「奥様は産後の肥立ちが悪くて、体調を崩してお亡くなりになりましたから・・・」

アンナは腰をかがめて、バケツの雑巾を絞った。

「セドリック様は小さい頃、本当に奥様とそっくりで、かわいらしいお姿でしたよ。

グラゴール様はそれがつらくて。

この館には、ほとんどいらっしゃらなくなりました。」

リズもカーテンを閉めようとして、窓から荒れた庭を見た。

グラゴールという人は、妻を思い出すたびに、喪失感で苦しんだのだろう。

花で埋め尽くされた館、その美しい記憶を封印したのか。

「セドリック様が12の時に、ドラゴン同士のケンカの仲裁を、グラゴール様がなさったのです。

が、怪我をされて、それがもとで亡くなられました」

アンナの話の途中で、グレーズの大声が、廊下に響いた。

「アンナ!アンナ!ちょっと来てくれ」

「ああ、ついおしゃべりをしてしまって・・さぁ、行きましょうかね」

リズもその促しに、ほうきとバケツを手に取った。


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