疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
別館を出ると、リズはすぐに井戸に通じる小道を走った。
土間から台所につながる扉の脇のはめ板は、それほど重くなく、すっぽりと抜けたので、簡単にくぐり抜ける事ができた。
いつもは温かい台所だが、火が落ちているのでうすら寒い。
リズはためらいなく食堂、居間を通り抜けて、ドラゴンの寝室の大きな扉の前に立った。
コンコン
ノックをしたが、その音に反応する気配はない。
「ご主人様、リズです。傷を見たいので、入ってよろしいでしょうか」
やや大き目の声で言ったが、静まり返っている。
リズの手が、ドアノブに掛かった。
「入ります!」
リズはきっぱりと宣言して、ドアを開けると、冷気と酒の臭い、そして鉄さびの臭い・・・・
「・・・・!」
部屋は厚いカーテンが閉まり、薄暗かったが、リズは迷うことなく、奥のベッドに走った。