疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン

リズの生い立ち

<リズの生い立ち>

「30年ほど前に、この国にふらっと現れたのが、魔術師・バレリアンでした。

彼は、巧みな話術と幻術で王宮に入り込み、現王の父親を懐柔したのです。

国を動かす影の実力者になったのは、それほど時間がかからなかったと言われています。

バレリアンの野望は、この国を支配すること。

国王もその継承者の皇太子も、その魔力を受けて、傀儡(かいらい)と化していったのでしょう」

「大魔術師・バレリアンとは、魔族のたぐいなのか?」

ドラゴンの疑問に、リズは首を横に振った。

「さぁ?それまで、彼がどこの国から来て、何をしていたのか、誰も知らなかったようです。

ただ、強い魔力を目の当たりに見て、悪魔と契約をした者と、聖職者は恐れたのでしょう」

リズは、ピンセットの先をろうそくの炎であぶった。

「バレリアンは自分の前に立ちふさがる者を、容赦なく消していったようですね」

そう言うと、小さくため息をついた。

「しかし、万能のバレリアンにも、誤算があったのです・・・」

リズは黙り込んで、皮膚に食い込んだ欠片を外す作業に集中した。

「誤算とは?」

ドラゴンが先を促すと

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