疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
「彼は皇太子の妻に、懸想してしまったのです。

現王の王妃ですが、その時は、外国から嫁いだばかりの若く美しい皇女でした」

「その結果、私が生まれました・・・

ナディール王は生まれた私を見て、ひどく驚いたそうです。

バレリアンの大魔術師と、瞳と髪の色がそっくりでしたから」

ドラゴンもうつぶせの姿勢で、ため息をついた。

生まれたリズは、王女としての地位を持つが、現王に疎まれたのは想像に難くない。

血のつながりのない娘を、王宮から遠ざけるために、修道院に追いやったのだ。

男児だったら、とっくに殺されていてもおかしくなかったはずだ。

「母である王妃は、産後も体調不良が続き、亡くなりました。

それに続くように、バレリアン卿も病気で亡くなったと。

たぶん、毒殺されたのでしょう」

リズは、手早く血止めの薬草をほぐすように広げて、傷に置いた。

「バレリアン卿は死ぬ間際に、「自分は生まれ変わり、王位を奪い取る」と言い残したそうです」

ドラゴンは枕に顔をつけたまま、くぐもった声で言った。

「お前は簒奪者(さんだつしゃ)」として、生まれたということか」

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