疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
数人の男たちが、ドラゴンのそばに駆け寄って来た。

「旦那様・・この馬車の荷物は、本と枯れ葉のはいった袋だけですぜ」

男たちに、落胆としらけた雰囲気が漂った。

「宝石も金貨も、金目のものは何もありませんや」

ドラゴンは不機嫌そうに、しかし、視線は遠慮もなくリズを眺めた。

「確かに王家の者が、お忍びで通ると言う情報だったが・・」

ドラゴンが、独り言のように言った。

「ガセネタだったんですね・・」

周囲の男たちが、声を落として言った。

ドラゴンは腕組みをして、もう一度リズの正面に立ち、足元から頭までゆっくりと視線をやった。

それから指をあごにやって、感慨深げに言った。

「おまえ・・でかいな・・」

二人が向き合うと、ほぼ同じ身長であった。

まわりの男たちも、遠巻きにして、背の高いリズを不思議そうに見ている。

これらの好奇の目・・リズは慣れていた。王宮でもどこの修道院でもだ。

女にしては、背が高い。

リズは一瞬、眉の間にしわを寄せて、顔をしかめた。

まったくめんどうくさい。

こんな時に、なぜ背の高さが問題になるのか?

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