疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
ドラゴンのそばにいた男がリズを指さして、ふてくされたように言った。

「それより、このでかい女・・どうしますか?

若くもないし、愛嬌もない!売れないですぜ」

身長も年齢もそう見えるのは確かなのだが、彼らにとって女としての商品価値がなければ、すぐに殺すのだろう。

そしてその決定権は、目の前のドラゴンが握っている。

リズは、ドラゴンの次の言葉を待った。

ドラゴンは腕組みをしたまま、リズをしばらく見つめていた。

泣くでもない、わめくでもない、恐れるのでもない・・・仮面のように表情が読めない。

ドラゴンは、考えるのがめんどうくさくなったのか、漆黒の髪をかき上げた。

「館の下働きにする。しばらくは使えるだろう。馬車に乗れ」

そう言って、リズに向かって顎で馬車の方向を示した。

リズは黙って、指示に従い、歩き出した。

すると、ドラゴンはリズの背中に向かって大声を出した。

「おい、お前!!名前を言え」

リズは振り向いた。

「リズと言います。あなたの名前は?」

いきなりの疑問文で返されて、ドラゴンは面食らったように眉をひそめた。

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