疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
リズは、まったく当たり前の事だというように、冷静に続けた。

「あなたは、私の主人になるのでしょう。なんとお呼びしたらよいのですか?」

ドラゴンは、その言い方が気に障ったようで、カツカツと靴音を立てて、リズの正面に改めて立ちはだかった。

その距離は、胸ぐらをつかんでもおかしくない迫り方だ。

「ふーん、なかなか口が達者だな。それでは、俺の事を御主人様と言え」

その赤い瞳は、ねめつけるように迫力がある。

「わかりました」

リズはその目をそらす事もなく、スカートをつまみ優雅なお辞儀をした。

宮廷儀礼では、最上級のお辞儀の仕方だ。

その姿を見て、ドラゴンはふっと息を吐き、腕組みを解いた。

「とりあえず、こいつの手を縛っておけ」

そう配下の男に指示をすると、一人が細いロープを持って来た。

リズは手首を縛られて、馬車に押し込まれるように乗りこんだ。

馬車が大きく揺れて、動き出す。

人生は一瞬で変わる。

王女として生まれ、王宮から締め出され、修道院で育ち、政略結婚を拒否したら・・

今度は、魔物の使用人になるのか。


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