疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
「ご主人様は、女性に人気があるのですね」

リズも話を合わせた。

あの美しい母親に似た容姿なら・・・半分はエルフなのだから。

アンナは、思いにふけっているリズの横顔を見て言った。

「リズ様・・・好きな殿方はいらっしゃいますか?」

「王宮の女は、自分で相手は選ぶことはできないのです」

リズはそう答えると、御者台に引っかかっていた木の枝を取り、虫を払うように左右に振った。

好きな相手・・胸をときめかせる人・・憧れる人。

王宮では、その思いはすべて砕かれて、死を選ぶ者もいる。

いや、殺されることすらある。

自殺、処刑、暗殺。

リズは、男たちの争いの道具にされたくないと思っていた。

その唯一の選択が、修道院での生活なのだ。

アンナは横目で、リズの胸に揺れてきらめくペンダントを見た。

「私たちドワーフでは、結婚を「自分の片割れを見つけた」と言うのです」

「片割れとは・・?」

リズがまた枝を振った。

「古い神話なのですが、ドワーフはもともと、大きな人だったのです。

でも神様が、働き者のドワーフの数を手っ取り早く増やすために、半分にしてしまった。
< 60 / 92 >

この作品をシェア

pagetop