疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン

夕食での謝罪と和解

<夕食の謝罪と和解>

午後過ぎに、リズはアンナと食事の支度をするために、エプロンをつけて台所に入って来た。

「リズ様、今日は食堂で、旦那様とご一緒にお食事をなさいませ」

「あの?なぜ?」

「旦那様から、お話があるとのことです」

アンナが、すました顔で言ったが、リズの髪が、いつものようにひとつにまとめられているのに気がついて

「さきほどのようになさいませ。おきれいですから」

残念そうなアンナに、リズはため息をついた。

話とは・・・ここかあら追い出されるのか・・この先はどうなるのか?

リズの足取りは重かった。

食堂の大きなテーブルの中央には、リズが飾った野の花の盛り合わせがあり、燭台のろうそくは暖かい光を放っていた。

正面に主人であるドラゴンが座り、その横にリズのための席がセッティングされている。

「今日は・・・ご一緒させていただきます」

リズは軽く会釈をして、静かに席についた。

ドラゴンは、自らグラスにワインを注いで、それをリズの横にずらして置いた。

「飲め」

「いただきます。」

一口飲むと、甘く、葡萄の芳醇な香りと野性味が鼻に抜けた。

「このワインは、野生の貴腐葡萄を集めて、エルフたちが造ったものだ。

他では飲めないものだぞ」

リズはうなずいて、口の中でワインを転がし、味わった。

この館の酒は、どれも極上品で趣味が良い。

ドラゴンはリズを見ず、目の前の皿、肉ではなくサラダをにらんでいた。

「なぜ、逃げなかったのだ?

街なら逃げるチャンスが、いくらでもあっただろう」

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