疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
「ここから逃げても、行く場所がありません。私はすでに死んだ人間ですから。

それに、これをお返ししたいと」

リズはペンダントをテーブルの上に置いた。

「アンナから聞きました。

このペンダントは領主が持つべきものであって、私がいただけるものではありません」

「そうだな・・・それでは、こうしよう。

俺はお前にこれを預けるから、返せと言うまで、持っていて欲しい」

ドラゴンは、自分の言葉に納得するようにワインを飲み干すと、グラスをトンと置いて頭を垂れた。

「その、さっきは申し訳なかった。

ちょっとふざけただけで・・・アンナに怒られてしまった」

リズは、思わずドラゴンの顔を見ると、赤い瞳が、罰の悪そうに伏せられている。

「アンナに・・・怒られたのですか?」

思いがけない言葉に、リズは頬を赤く染めた。

赤くなったのは、ワインのせいだと思いたい。

「ああ、お前は王女なのだから、もっとわきまえろと言われた」

ドラゴンはようやくリズに視線をやり、気まずそうに肩をすくめた。

「私は・・・もう王女ではありませんから」

そう言い切ると、ワインを飲み干した。

< 67 / 92 >

この作品をシェア

pagetop