疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
そう、今は使用人なのだ。このドラゴンの、この館の。

「まぁ・・そうだが」

ドラゴンは罪悪感を持っているのか、自信がなさそうに

「これから気を付けるが・・でも、お前がきれいに・・・

俺には見えたのは本当だから」

ドラゴンの真っすぐな視線が、突き刺さるような痛みを感じる。

リズはそれを振り払うように、無作法を承知の上で、自分でワインをつぐと一気飲みした。

それからナプキンで口を押えて

「不用意な接触は、誤解を招きます」

自分でそう言いながら、なぜあの時に、この人の角にキスをしてしまったのか考えていた。

自分の予期しない感情が、酒の勢いで浮かんでくるのはよくない。

ドラゴンは、考え込んでいるリズの様子を見て、額に手をやって苦笑した。

二人の間に境界線のように、ペンダントが置かれているので、ドラゴンは指先でリズの方に押し返した。

「もう一度、言う。これを預かってくれ」

「わかりました。お預かりいたします」

たぶん、ドラゴンは引かないだろう。

リズはそう判断して、ペンダントの鎖を指で絡めて自分の方に寄せた。

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