疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン

リズの運命

<リズの運命>

夜道を馬車で揺られ、明け方に着いたのは深い森の中。

廃墟のような館だった。

すべての窓が真っ暗で、魔物の住みかにふさわしい、闇の深さを感じさせる。

リズは館の正面で馬車から降ろされ、そのままぼんやりと立っていると、手下の男がナイフで、手首を縛っていたロープを切った。

ドラゴンは、リズをにらむように視線をやり、横柄な口調で言い放った。

「ここで逃げても、森でさまよって死ぬのがおちだ。変な気を起こすなよ」

リズはうつむき、赤く擦り傷ができた手首をさすりながらうなずいた。

配下の男たちは馬を引いて、暗闇に次々と姿を消していく。

これからどうなるのだろう・・・青みがかった闇に、溶けるように立っている館を見上げた。

ドラゴンはランタンを掲げて、明かりを揺らした。

「こっちだ。ついて来い」

「ごしゅじ・・様・・!」

リズは口が渇いて、言いにくそうだったが、

「本と薬草の袋を・・・持って行きたいのですが・・」

「薬草・・?」

ドラゴンは、うなるように聞いた。

「そうです。薬ですから、何かの役にたちます」

その口調は、確信と自信を持っているように響いた。

「わかった。後でもってこさせよう」
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