疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン

リズの乗馬訓練

<リズの乗馬訓練>

いつものように朝食がすむと、アンナとリズは裏庭に出て、洗濯物を干す作業に取りかかった。

グレーズが、馬屋から大きな黒い馬を引き出しているのが見えたので、アンナがリズの腕を軽く叩いた。

「あれが、旦那様のキースブラックですよ。ここいらで一番速い馬です。

旦那様の馬に乗るお姿がかっこよくて、エルフの女たちが、キーキー騒いでしょうがないのですよ」

アンナが自慢気に、馬の姿を目で追った。

リズはアンナが干すのに苦戦していた大きなシーツを、洗濯紐にかけながら

「ご主人様はエルフの血が入っているから、馬の扱いもお上手なのですね?」

「そりゃぁ当然です!

それにセドリック様をお育てしたのは、この私ですからね」

アンナが胸を張るのを見て、リズは微笑んだが、すぐに何かに気が付いたようで、口をへの字にした。

馬のそばに立っていたドラゴンが、リズに向かって<こっちにくるように>と手で合図をしている。

「馬に乗る練習をするぞ。着替えてすぐに来い」

ドラゴンの大声で、リズは渋々館に戻ろうとすると

「リズ様、馬なんかすぐに乗れるようになります。心配しないで」

アンナがその不安そうな背中に、声をかけた。


少し時間がかかったが、リズは先日の男物の服に着替えて、館の玄関前に立った。

ドラゴンがキースブラックに乗って、ゆっくりと近づいてくる。

馬はフンフンと鼻を鳴らし、リズに好奇の目を向けていた。

「ブーツがないのか」

「はい、ここで馬に乗るとは思わなかったので・・」

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