疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン

ドラゴンの処刑

<ドラゴンの処刑>

その日の朝は、よく晴れていた。

前日に、アンナとその娘たちが、山のふもとにある桑の木にしるしをつけたと言う。

リズも一緒に行って、繭を探そうと思い、男物の服に着替えていた。

この時期の繭は、空っぽだろうが、木の枝にくっついて、残っているかもしれない。

アンナと、荷馬車に乗り込もうとした時だった。

「大変だぁ!!!アンナ、アンナ!!」

叫び声と共に、馬のひずめの音が響くと、血相を変えたグレーズが、駆け込んで来た。

「グレーズ!?」

アンナが問かける間もなく、グレーズが怒鳴った。

「女やこどもを、すぐに山の洞窟に隠すだ!

旦那様が、王宮の兵隊につかまっちまっただ!!」


アンナが、慌てて馬車から飛び降りると

「それで、旦那様は・・今・・どこに!」

「狩りをしていて、王宮の軍隊に逆襲された。

エルフの一人がつかまりそうになって、旦那様がかばった時、馬から落ちてしまって・・・

すぐにドワーフとエルフの連中にも、知らせるんだ!!」

ブルルル・・ヒンヒン・・・

主のいないキースブラックが走ってきた。

ドラゴンは、馬とエルフを助けたのだ。自分の命と引き換えに・・・・

「旦那様を助けないと!!」

リズが叫んだ。 

この馬の主人がどうなるのか、リズは予想がついた。

「旦那様の命令だ!

軍隊がせめて来たら、俺たちは根こそぎやられてしまうだ!!

すぐにみんなを避難させるだ!」

ペンダントの魔法石が熱を持ち、主人の危機と連動しているように感じた。

王宮なら・・王の命令なら・・リズは魔法石に指をやり、唇をかんだ。

が、すぐにグレーズを見た。

「王宮には、私が行きます。一番速い馬はキースブラックですね」

「リズ様には無理だ。あいつは、旦那様しか乗せねぇ!」

リズはその声を無視して、小高い石垣の上に駆け昇った。

「キースブラック!こっちに来て、ご主人様を助けるの!」

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