疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
キースブラックは興奮して、地面に足をトントン打ち付けていたが、石垣のそばまで近寄ってきた。

「ご主人様を連れて帰ります。二人用の鞍を準備して!お願い!グレーズ!!」

リズの決意が揺るがない事を、グレーズは理解したのだろう。

アンナの乗った荷馬車の、馬の尻を叩いた。

「わかりましただ!アンナは先に行け!みんなに知らせろ!!」

グレーズは素早く鞍を乗せて、リズに前に乗るように促した。

リズは鞍にまたがると、身を屈めて魔法石をキースブラックの耳にあてた。

「ご主人様を助けに行くのよ!!」

キースブラックはうなずくように、首を上下させた。

「リズ様、これをお持ちくだせぇ!」

グレーズが胸にかけていた笛をはずして、リズに手渡した。

「キースブラックを呼ぶ笛ですだ。音がしなくても、こいつは必ず来るだ!!」

次の瞬間、リズを乗せたキースブラックは、勢いよく走り出した。

「きゃあ・・・!!」

リズは顔を伏せて、馬のたてがみにしがみついた。

馬の勢いで、地面に転がったグレーズが叫んだ。

「リズ様ぁ・・・・手綱を取ってくだせぇ!!」

キースブラックは行き先を理解しているように、迷いなく走り続ける。

そしてあのユニコーンが、伴走しているのがリズの視界に入った。

とてつもないスピードが出ているが、あまり揺れず、飛んでいるように感じる。

森を抜けて、王宮と石造りの城壁が見えた時、ユニコーンの姿が消えた。

リズは城壁の手前で、馬を止め、滑り降りた。

「呼ぶまで、ここで待っていてね」

キースブラックの鼻さきに魔法石をあてると、「わかった」というように、首を上下に振った。

鞍にひもで結んであったマントをかぶり、リズは小走りで城壁を抜けた。
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