疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン


「処刑だ!首切りだ!」

「公開処刑だ!!ドラゴンの首がはねられるぞ!!」

興奮した男たちが、大声でふれまわっている。

王宮の広場は人でごった返し、中央に即席の木材で組み立てられた処刑台が設置されていた。

王族が座る貴賓席が王宮のバルコニーに設けられ、見物人の間をぬって物売りも出ている。

ドラゴンの処刑は、格好の見世物になっていた。

ダダダダダダダ

近衛兵の太鼓が鳴り響くと、執行官が巻紙を広げて、大声で口上を述べた。


「このドラゴンは長期に渡り、人々の安全な旅を脅かし、金銭を盗み取る盗賊である。

よって斬首の刑に処する。」

言い終わると、執行官は貴賓席の王を見て、合図を待った。

ドラゴンは後ろ手に縛られて、椅子に座らされていたが、その顔は血だらけで痛々しい。

着ているシャツは破れて、ぼろ布のように垂れ下がり、拷問のすさまじさが垣間見えた。

王が側近を呼んで、耳元でささやくと、側近は紙を指して執行人に何かを指示している。

執行官は紙を見てうなずくと、咳払いをして、詰めかけた見物人に告知をした。

「ドラゴンの角は希少品だ。これからオークションをやる」

民衆が大きくどよめき、剣を持った死刑執行人は、後方に下がった。

「角は2本ある。一番高値をつけたものに、この場ですぐに切り落として渡そう」

民衆たちが驚きのあまり静まり返ったのを、王は満足げに眺めていた。

執行官は、片手でドラゴンの角をつかんで、声を張り上げた。

「ドラゴンの角。魔力を持つ怪物の角だ・・・伝説になるほどの貴重なものだ。

さぁ、どうだ。では、金貨500からいくが・・・」

数人の手が上がった。

「それでは600をつける奴はいるか?」

執行官は民衆たちを見回し、あおるように声を張り上げると、3人の手が上がった。

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