疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
リズの銀灰の髪が、風でなびく様子を見て、執行官は震えあがり、後ずさりした。

「バレリアンの怒りだ!!」

ガラガラガラ・・ドーン・・ドーン

雷が教会の尖塔に落ちた。

「雷に殺されるぞ・・!!」

誰かが大声で叫ぶと、見物客たちは蜂巣をつついたように、四方八方に逃げ去った。

「王よ・・許さぬぞ」

リズは、魔法石を王に向けて宣告した。

暗黒の空、厚い雲間から、地上に攻撃するかのように雷を落としてくる。

すでに、王宮の尖塔は黒煙をあげて、火が屋根まで燃え広がろうとしていた。

「ううう・・・そんな奴、お前にくれてやる・・」

真っ青になった王が叫び、椅子を蹴倒して王宮内に逃げ込んだ。

側近たちもパニックになった王に続いて、走り去った。

グワァァァーーーー

もうそれは、すさまじい豪雨が地響きのような音を立て、地面を叩きつける。

稲光が次々に走り、最後の審判、この世の終末のような有様になっていた。

リズは・・・放心したようにドラゴンの角をつかんだまま、空を見上げていた。

その瞳は焦点が合わず、めまぐるしく紫と青に交互に変化をする。

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