疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
雨が地面を叩きつける中、ドラゴンがようやく声をあげた。

「リズ!!その笛でキースブラックを呼べ!」

「え・・・・」

まだ夢の世界からさめないように、リズは首から下げていた笛に触れた。

「早く・・呼べ!!」

ドラゴンが、雨音に負けないように大声で叫んだ。

「ああ・・・・」

その声に従うかのように、リズはうつろな目のまま笛を吹いた。

ドドドドドドドド・・・

土砂降りの雨の中、大きな水しぶきをあげて、黒い馬が疾走してくる。

「キースブラック!!」

ドラゴンが叫ぶと、馬は処刑台にまっしぐらに走ってきた。

ヒヒーーーン

いななくと、馬はピタリと処刑台のそばで止まった。

「リズ!!鞍にナイフがある。縄を切れ!!」

リズは、片手でドラゴンの角をつかんでいたが・・・ゆっくりと手を離した。

「ナイフだ!!早くしろ!!」

ドラゴンは、うつろな表情のリズを見上げて叫んだが、反応が鈍い。

「旦那様!!」

一頭のポニーが、豪雨の中、処刑台に向かって走って来た。

グレーズはポニーから飛び降りると、処刑台の階段を駆け上がり、腰のナイフを抜いた。

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