疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
すぐにドラゴンの手を縛っていた縄を切ると、ひざまずいた。

「旦那様!!ご無事で」

ようやく体の自由がきくようになると、ドラゴンは椅子から立ち上がった。

リズは・・・笛を持ったまま、漆黒の空を見上げて、ぼんやりと立ったままだ。

ドラゴンがキースブラックに乗ると、叫んだ。

「早く乗れ!!逃げるぞ!!」

リズは、雨の中、水草のなびく浮遊感にとらわれていた。

ドラゴンの声が耳に届かないようなので、グレーズがリズの手を引っ張り、馬のそばまで何とか引きずるように歩かせた。

馬に乗ったままでドラゴンが、リズの腕をひっぱると、ぐらりと倒れるように胸に落ちた。

抱きかかえたままで、ドラゴンはキースブラックの腹を軽く蹴ると、豪雨の中を矢のように走り出した。

王宮も城下町も、あちらこちらで紅蓮の炎と黒煙が上がっている。

城壁の門番たちも恐れをなして避難したらしく、馬を止めようとする者は誰もいなかった。


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