疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン

逃走の果てのキス

<逃走の果てのキス>

ドラゴンは最後の気力を振り絞り、追手の来ない森の中に滑りこむことができた。

雨は上がり、黒い雲間から夕陽が微かに差し込み始めている。


ドラゴンはキースブラックから降りて、人形のようにぐったりしているリズを、抱きかかえて降ろした。

リズは地面に足がついた瞬間、力がぬけて崩れ落ちてしまった。

「おまえ・・大丈夫が・・・?」

リズの目の焦点があっていない、いや、瞳孔が開いているように見えた。

まるで魂が抜けてしまったようで・・・びしょぬれの銀灰の髪が青白い頬に張り付いていた。

体も氷のように冷たい。

ドラゴンは、馬の鞍に下げていた革袋を取り一口飲むと、リズの体を抱き起した。

「おい!!しっかりしろ・・・わかるか!!」

リズの頬を軽く叩いたが、反応がない。

ドラゴンは革袋をリズの唇にあてて、液体を流し込むようにした。

「うう・・ゲホッ、ゲホッ」

アルコールの強さで、リズはむせた。

「・・なんで・・」

リズはせき込みが収まると、ぼんやりとドラゴンの顔を見つめていた。

その瞳はようやく焦点が合ってきたようで、心配そうにのぞき込むドラゴンと視線があった。

「ああ・・おまえのおかげで、助かった」

ドラゴンは、リズの目に宿った光を見て、安堵の息を吐いた。

「もう少し飲んだ方がいい」

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