疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
「あんなの・・・・茶番です。劇です」

ブランデーをゴクリと飲みんだが、その口調はいつものリズだった。

少し口角を上げて皮肉っぽく笑った。

が、次の瞬間・・・・今までの緊張が一気に解けたのか、鼻の奥がつんとして、涙があふれそうになった。

助かって良かった・・・その思いだけが、とめどなくあふれて、ふたができないほどに、感情がせりあがってくる。

ドラゴンがリズの腕をつかみ、自分の胸にぐいっと引き寄せた。

「え・・・・」

すでにリズの唇は、ドラゴンの唇によってふさがれ、その舌が、強引にリズの唇をこじ開け、すべりこんだ。

体は冷たいのに、そこだけは炎が燃えるように熱い。

まるで荒波に、もまれるような激しさと、何かを求める・・その強い感情がリズの全身を貫いた。

お互い、求めるものが同じなのか、確かめ合うように激しく舌を絡めあい、唇が離れて・・・吐息がもれた。

そのままドラゴンはリズを抱きしめたまま、仰向けに地面に倒れこんだ。

二人の呼吸が重なり、ゆっくりと同調する。

濡れた服を通して、お互いのぬくもりを感じると、生きている実感がこみあげてくる。

「星が見える・・・」

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