疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
ドラゴンはリズを抱きしめたまま、小さな声でつぶやいた。

雨が、大気のちりやほこりを洗い流したので、空には無数の星がまたたいていた。

リズはドラゴンの首元に顔を埋めていたが、離れようとしてもがいた。

「動くな・・・」

ドラゴンがそう言ったので、リズはあきらめて、そのままの抱かれたままになっていた。

「おまえは・・・やはりバレリアンの大魔術師の生まれ変わりだったのだな」

腕が少しゆるんだので、リズは体を起こして、寝ているドラゴンのそばに横座りした。

ドラゴンは顔を横にして、リズの胸に揺れる魔法石のペンダントを見ると、それは、星が四方に飛び散ったかのように輝きを増していた。

リズは、自分の首から魔法石をはずして、ドラゴンの胸に置いた。

「いいえ、バレリアンの力ではありません。

お母さまが・・あなたを守るために、私に力を貸してくれたのでしょう」

リズの瞳は穏やかな紫、菫色だ。

「これをお返しします」

リズがそう言うと、ドラゴンはさえぎった。

「お前が持っていた方がいい」

ペンダントは、リズの膝に投げるように戻された。

< 88 / 92 >

この作品をシェア

pagetop