疎まれた王女はドラゴンに愛を語らない・魔法の恋の行方・リズとドラゴン
それからドラゴンも起き上がると、深紅の瞳を細めてリズを見た。

「俺は・・お前のものなのだな」

リズは人形のように抱き寄せられて、ドラゴンの低い声が、うなじをなでるように響く。

もう一度、その唇が・・・触れ、今度は激しい感情をぶつけるのではなく、穏やかで慈しむキスだった。

言葉は・・・・いらない。

お互いの舌をゆっくりと絡めて、味わい、その感触を感じ合う。

リズは以前アンナが話してくれた、ドワーフの神話を思い出していた。

自分の片割れを探す旅人。

それでは、私の片割れは、この赤い角を持つドラゴンなのか。

ブランデーの香りが鼻腔に抜けて、酒に酔ったようだ。

何度かの口づけを、交わした後だった。

遠くの木々の間に、ランタンの明かりがチラチラ動いて、こちらに向かって来るのが見えた。

「旦那様ぁ、リズ様ぁ・・・どちらにいらっしゃいますかぁ?」

グレーズの叫ぶ声が聞こえ、多くの馬の足音も混じった。

ヒヒーーーン

キースブラックがいなないて、場所を知らせたので、リズはあわてて体を離し、自分の頬をごしごしこすった。

酒を飲んだように、赤くなっているはずだ。

他のエルフやグレーズに、気が付かれないだろうか?

ドラゴンは・・・同じように赤くなっていたが、リズの焦っている様子を満足げに見ていた。
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