極道シングルファザーの甘く危険な独占愛
帰宅してからの羽衣子は元気いっぱい動き回る希海に振り回され、昴のことを意識している余裕がなかった。
庭で遊び、絵本を読み聞かせ、一緒に昼寝をして、気付けば羽衣子は一日中希海の後を追い掛けていた。
そのおかげで昼間の気まずさも自然と薄れていき、羽衣子もいつもの調子を取り戻していたのだが、
「……すぅ……」
たっぷり遊んで疲れたのだろう、夕食とお風呂を終えた希海はベッドに横になるなり、あっという間に寝息を立て始めた。
「ふふ……おやすみ、希海くん」
小さな頭をそっと撫で、その寝顔に微笑みながら羽衣子が部屋を出ようとした、その時、扉を開けた瞬間、廊下の向こうから現れた人物に羽衣子は足を止めた。
「…………っ」
やって来たのは風呂上がりの昴で、まだ少し濡れた黒髪やラフな部屋着姿、昼間はほとんど顔を見る余裕もなかったせいか不意打ちのように目の前へ現れた昴に心臓が跳ね、
「…………」
昼間は忘れていたはずの気まずさが羽衣子の中に一気に蘇った。
そんな空気を察したのか、昴は何事もなかったように口を開く。
「希海はもう寝たのか?」
「あ、は、はい。今日は沢山遊んだので、きっと疲れたのかなと」
「そうか」
「それじゃあ、私も自室に戻りますね――」
そそくさとこの場を立ち去ろうとした羽衣子を、
「羽衣子」
昴の低い声が呼び止めた。
「は、はい……?」
「悪いがコーヒーを書斎に頼めるか? 少し仕事が残っててな」
「あ、はい。分かりました、お持ちしますね」
「助かる」
こうして会話は終わり昴は一旦希海の眠る寝室へ。
それを見届けた羽衣子はコーヒーを淹れる為に一階のキッチンへ向かった。
リビングでは乙哉と皐月が仲良くテレビゲームをやっていて賑やかで、そんな中羽衣子はお湯を沸かしていた。
「あ、おい皐月! 今のはズルいだろ!?」
「いやいや、これは正攻法ですから!」
ふいに乙哉と皐月の言い合いが聞こえてきてそちらへ視線を向けると乙哉の姿が目に入ったその時――乙哉の言ったことは気にするなという昴の言葉が頭に過ぎった。
(気にするなって言われても……)
乙哉に言われた言葉はどうしても気になってしまう。
(やっぱり、男女でホテルに泊まって何も無いのは……おかしい、よね……)
羽衣子だってそこまで子供じゃないから分からないわけではないけれど、ホテルに泊まったのは成り行きというか、安全が確保されるのを待つ為だったわけだから、昴だってそういった行為をするつもりは無かったに違いないのは確か。
(……私に魅力があったら、そうなってた? 昴さんにとって、私って……)
そんなことを悶々と考えていると、
「吾妻さん?」
「は、はい!?」
不思議そうな表情を浮かべた皐月が羽衣子の顔を覗きこむように窺いながら声を掛けた。
庭で遊び、絵本を読み聞かせ、一緒に昼寝をして、気付けば羽衣子は一日中希海の後を追い掛けていた。
そのおかげで昼間の気まずさも自然と薄れていき、羽衣子もいつもの調子を取り戻していたのだが、
「……すぅ……」
たっぷり遊んで疲れたのだろう、夕食とお風呂を終えた希海はベッドに横になるなり、あっという間に寝息を立て始めた。
「ふふ……おやすみ、希海くん」
小さな頭をそっと撫で、その寝顔に微笑みながら羽衣子が部屋を出ようとした、その時、扉を開けた瞬間、廊下の向こうから現れた人物に羽衣子は足を止めた。
「…………っ」
やって来たのは風呂上がりの昴で、まだ少し濡れた黒髪やラフな部屋着姿、昼間はほとんど顔を見る余裕もなかったせいか不意打ちのように目の前へ現れた昴に心臓が跳ね、
「…………」
昼間は忘れていたはずの気まずさが羽衣子の中に一気に蘇った。
そんな空気を察したのか、昴は何事もなかったように口を開く。
「希海はもう寝たのか?」
「あ、は、はい。今日は沢山遊んだので、きっと疲れたのかなと」
「そうか」
「それじゃあ、私も自室に戻りますね――」
そそくさとこの場を立ち去ろうとした羽衣子を、
「羽衣子」
昴の低い声が呼び止めた。
「は、はい……?」
「悪いがコーヒーを書斎に頼めるか? 少し仕事が残っててな」
「あ、はい。分かりました、お持ちしますね」
「助かる」
こうして会話は終わり昴は一旦希海の眠る寝室へ。
それを見届けた羽衣子はコーヒーを淹れる為に一階のキッチンへ向かった。
リビングでは乙哉と皐月が仲良くテレビゲームをやっていて賑やかで、そんな中羽衣子はお湯を沸かしていた。
「あ、おい皐月! 今のはズルいだろ!?」
「いやいや、これは正攻法ですから!」
ふいに乙哉と皐月の言い合いが聞こえてきてそちらへ視線を向けると乙哉の姿が目に入ったその時――乙哉の言ったことは気にするなという昴の言葉が頭に過ぎった。
(気にするなって言われても……)
乙哉に言われた言葉はどうしても気になってしまう。
(やっぱり、男女でホテルに泊まって何も無いのは……おかしい、よね……)
羽衣子だってそこまで子供じゃないから分からないわけではないけれど、ホテルに泊まったのは成り行きというか、安全が確保されるのを待つ為だったわけだから、昴だってそういった行為をするつもりは無かったに違いないのは確か。
(……私に魅力があったら、そうなってた? 昴さんにとって、私って……)
そんなことを悶々と考えていると、
「吾妻さん?」
「は、はい!?」
不思議そうな表情を浮かべた皐月が羽衣子の顔を覗きこむように窺いながら声を掛けた。